第3章 ”音”について理解しよう

■音に関する基礎知識

(1)”音”の正体

いきなりですが、みなさんに質問です。『音』はどうして聞こえるのでしょうか?

すぐに答えられる方は、すでに”音”の正体について熟知されている方かと思います。

かんたんに説明すると、『音』とは、振動する物体(発音体)が発する”音波エネルギー”が空気を介して人間の鼓膜に伝わり、それを脳が『音』として認識するから、というのが簡単な答えです。

すなわち、空気を通じて伝わる”振動エネルギー”です。

もちろん、空気でなくとも、たとえば水中でも音は伝わりますが、特に断りのない限り、ここでいう”音”とは、”空気中を伝わる音波”と捉えてください。

その空気を介して伝わる音の速さは、外気温が20℃の場合で、1秒間に約343m進む速さです。”マッハ”とも呼ばれます。

ちなみに光も波長エネルギーですが、その進む速さは、300,000Kmで、その速さに圧倒的な違いがあります。

ということは、仮に、PAオペレータ席からステージまで343m離れているとしたら(実際にそんなに離れることはありませんが)、ボーカルの発した声が、約1秒遅れて届くことになります。

ただし、後述しますが、これは『周波数』によって届き方に違いが生じます。

このような音に関する基礎知識は、音響機器を操るPAマンにとって最低限必要になりますので、まずはしっかりと理解してください。